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忘れかけている「下味」。 【木津卸売市場 追想】 [木津市場]

ラジオの生放送の立会いの当日、少し早めに着いたので、市場内をブラブラした。気になっていたお店がいくつかある中で、目を惹いたのが国産昆布を扱う「蒲生商店」さん。おじさんが一人で切り盛りされていた。まさに昭和の雰囲気が漂っているお店である。

昆布4.JPG

魚も野菜も大好き人間としては、市場がミュージアムに思えてくる。この感覚はなんだろう。子供の頃の残像が蘇ってくる。瀬戸内海に面した小さな町で育ち、たまたま親戚が蒲鉾屋をしていた。親の都合でよく連れて行かれた。そのときの魚の匂いが脳にインプットされている。そのせいか、いい歳のオヤジになってもここ木津卸売市場が楽しい遊園地のように思えてくる。心が躍るのが自分でも分かる。まして建物や雰囲気が昭和の姿のままである。この姿も残りあと幾日もない。未来に向け取り壊されることになっている。(2008年リニュアルオープンされる)

その蒲生商店さんの前を通りかかると昆布が山済みされていた。ここのお店はほとんどが国産昆布。それも道南の松前町から恵山一帯の真昆布ばかりである。真昆布は山だし昆布とも呼ばれ、数々ある国産品の中でも最高級品の昆布として知られている。肉厚があり幅が広いのが特徴で、上品な甘みのある清澄な出汁がとれるので有名である。その真昆布が店先に積み重ねられている。ほとんどが料亭や料理屋さんなどへ卸されるものばかりである。

とくに関西人の舌を満足させるのは何をさておいても「出汁」である。削り節、いりこ、そして昆布の下味である。日本独特の絶妙な味を支えたのがこれらからとった出汁である。すべて自然のものばかりである。いつの時代にも「おふくろの味」としてこれからも食卓を支えてほしいものである。
※この記事は、2008年春に取材したものです。

木津市場1.jpg
リニュアル後の木津市場

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