光琳の連続風景としての絵画「十二ヶ月屏風絵」 【福田美術館―ゼロからわかる江戸絵画】 [美術館]
月順に右から左へ各扇に連続風景として絵画化している「十二ヶ月屏風絵」。この各扇に描かれた絵を主題として詠まれた和歌が、それぞれの絵に書き添えられ月次屏風として平安時代に隆盛を極めた。
江戸時代に入っても著名な絵師が屏風調進で絵を描き公家たちが歌を詠作しものや、藤原定家の歌を主題に絵を月次に描いたものなどの六曲一双の屏風が人気を博した。
有名な作品として、葛飾北斎や酒井抱一の「十二カ月花鳥図」などがあるが、今回紹介するのは尾形光琳 (福田美術館 ゼロからわかる江戸絵画)の「十二ヶ月歌意図屏風」。
解説文によると、光琳の最初期の作品で、柔和で穏やかな墨法と繊細優美な彩色による情趣あふれる画面が魅力的と書かれていた。
正面上方には12人の公家が和歌を寄せており、絵と歌で月次として物語を作成している。
ただ、残念ながら文字が分らないので、素地がない者には絵を見て様子を想像しながら楽しむしかない。それでも光琳の絵の欠片から何かが伝わってくる。
リポート&写真/ 渡邉雄二
作品/ 尾形光琳の「十二ヶ月屏風絵」(福田美術館 ゼロからわかる江戸絵画)
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伊藤若冲の雲中阿弥陀如来像図の魅力 福田美術館「ゼロからわかる江戸絵画」より [美術館]
伊藤若冲が描いた仏画はそんなに多くはない。有名なものとして「釈迦三尊像」が知られている。この三尊像は40代の前半から50代にかけ約10年を費やして描いたものである。現在は国宝として相国寺の承天閣美術館に所蔵されている。
そして、もう一つ若冲が描いた作品の中で大好きな仏画がある。若冲が30代のときに描いたといわれている「雲中阿弥陀如来図」である。ご覧のとおり、実にシンプルな仏画で、彩り鮮やかな釈迦三尊像とは真逆である。
雲から上半身を出した阿弥陀如来が胸の前でボタンの花をもつ姿。また、後光は円の外側を薄墨で塗り、中は紙の地を見せることで表現している。色彩や形状のシンプルさが美しさを引き出している。
さらに、頭部の毛を螺髪のように見せながら塗りつぶし、額の中央部分をほんの少し扇形に地を見せている。いままで見たことのない描き方なので想像が膨らむ。
リポート&写真/ 渡邉雄二
作品/ 福田美術館所蔵作品
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そして、もう一つ若冲が描いた作品の中で大好きな仏画がある。若冲が30代のときに描いたといわれている「雲中阿弥陀如来図」である。ご覧のとおり、実にシンプルな仏画で、彩り鮮やかな釈迦三尊像とは真逆である。
雲から上半身を出した阿弥陀如来が胸の前でボタンの花をもつ姿。また、後光は円の外側を薄墨で塗り、中は紙の地を見せることで表現している。色彩や形状のシンプルさが美しさを引き出している。
さらに、頭部の毛を螺髪のように見せながら塗りつぶし、額の中央部分をほんの少し扇形に地を見せている。いままで見たことのない描き方なので想像が膨らむ。
リポート&写真/ 渡邉雄二
作品/ 福田美術館所蔵作品
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国宝「柴門新月図」は19人の禅僧が絵と漢詩で綴ったもの 【藤田美術館シリーズ-Ⅴ-】 [美術館]
「月」を題した序文が書かれたパネルがスポットライトに照らされていた。「夜がまだ暗闇だったころ 地上を照らすのは空に浮かぶ月でした ・・・・」という出だしで綴られていた。
そこから藤田コレクションがはじまる。最初の作品が国宝「柴門新月図(さいもんしんげつず)」だった。絵と複数の漢詩の両方が書かれ、絵と詩が密接に関わりあっている「詩画軸(しがじく)」という一服の掛軸。これが国宝作品というのは門外漢の私には理解不能である。多くの人が一つのテーマに、それぞれの詩を寄せているものとして貴重で珍しい日本の文化財産ということから国宝に指定されているという。
むかしは、よく禅宗系寺院などで禅僧たちが修行の一環として「詩会」を催し、同一テーマで詩や絵を描いていたといわれている。この柴門新月図は、中国の杜甫の詩「南鄰」に因んで送別をテーマに漢詩が18首詠まれ寄せ書き風に書き綴られたものである。
藤田美術館の解説では、序文に「柴門新月の図に題して、南鄰(なんりん)の故友に寄せる詩の序」と書かれているという。
この18首は、応永12年(1405年)に18人の南禅寺の禅僧が詠んだ詩であると記されてある。3首以外すべての自筆で署名し落款印が押されている。この作品の最後の句が「白沙翠竹 江村の暮 相送れば柴門に月色あらたなり」(訳 白い砂 緑の竹 江ぞいの夕暮れ 互いに見送れば 柴で作られている粗末な門に月があらわれた)。この詩が「送別」の代表首として結びに使われている。
これらの詩を読んで一人の画僧が絵を描いたのか、絵を参考にしながら18首を詠んだのかは分からないが典型的な詩画軸だろう。
ひとつ不思議ことに、この作品名が「柴門新月」とあるが、新月というのは月の満ち欠けの中で初めの月のことをいうので見えない月のはず。しかしながら絵からして満月をイメージしている。最後に「月色新たなり」という最後の一節から想像すると送別の詩としてやはり満月というとになる。満月を意味しながら新月と表現したのだろうと想像する。
リポート&写真 / 渡邉雄二 参考資料 / 藤田美術館解説文
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尾道・文化紀行 https://asulight0911.com/hiroshima_onomichi/
そこから藤田コレクションがはじまる。最初の作品が国宝「柴門新月図(さいもんしんげつず)」だった。絵と複数の漢詩の両方が書かれ、絵と詩が密接に関わりあっている「詩画軸(しがじく)」という一服の掛軸。これが国宝作品というのは門外漢の私には理解不能である。多くの人が一つのテーマに、それぞれの詩を寄せているものとして貴重で珍しい日本の文化財産ということから国宝に指定されているという。
むかしは、よく禅宗系寺院などで禅僧たちが修行の一環として「詩会」を催し、同一テーマで詩や絵を描いていたといわれている。この柴門新月図は、中国の杜甫の詩「南鄰」に因んで送別をテーマに漢詩が18首詠まれ寄せ書き風に書き綴られたものである。
藤田美術館の解説では、序文に「柴門新月の図に題して、南鄰(なんりん)の故友に寄せる詩の序」と書かれているという。
この18首は、応永12年(1405年)に18人の南禅寺の禅僧が詠んだ詩であると記されてある。3首以外すべての自筆で署名し落款印が押されている。この作品の最後の句が「白沙翠竹 江村の暮 相送れば柴門に月色あらたなり」(訳 白い砂 緑の竹 江ぞいの夕暮れ 互いに見送れば 柴で作られている粗末な門に月があらわれた)。この詩が「送別」の代表首として結びに使われている。
これらの詩を読んで一人の画僧が絵を描いたのか、絵を参考にしながら18首を詠んだのかは分からないが典型的な詩画軸だろう。
ひとつ不思議ことに、この作品名が「柴門新月」とあるが、新月というのは月の満ち欠けの中で初めの月のことをいうので見えない月のはず。しかしながら絵からして満月をイメージしている。最後に「月色新たなり」という最後の一節から想像すると送別の詩としてやはり満月というとになる。満月を意味しながら新月と表現したのだろうと想像する。
リポート&写真 / 渡邉雄二 参考資料 / 藤田美術館解説文
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