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住吉具慶の六曲一双が、月天・日天とシンクロ 【藤田美術館シリーズ-Ⅳ-】 [日本の文化芸術]

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               住吉具慶の六曲一双屏風図


最近、仏画曼陀羅アート教室で生徒さんが描いている題材に「月天」、「日天」の仏画がある。
見てのとおり(写真/作者不明) 左側が月天で手のひらの上には三日月(お椀形)の上に兎が描かれ、一方、右側の日天は右手に持つ蓮華の上に太陽を現わす円い火焔が描かれている。躰にまとう法衣の色合い、さらに頭光の火焔光は月と太陽を象徴する形になり着色されている。この月天、日天は対絵として表示されることが多い。


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             月天と日天の仏画

月天、日天もさることながら、先日、藤田美術館で鑑賞した絵の中で目に留まったのが六曲一双の屏風画。ご覧のとおり(写真) 対を成すシンプルな一円相の二隻の画。野原に草花がお生い茂り白色の花を咲かせ、その上に金地を背景に茶系と朱の円相図が一隻ずつ描かれている。

円相は、悟りや真理、仏性、宇宙などを円形で象徴的に表現したものとされているが、その解釈は見る人に任されている。
この絵を描いたのは、江戸時代前期に幕府の御用絵師として活躍した、大和絵の絵師「住吉具慶」という人。その名前が絵の隅に書かれていた。具慶は茶系を月に朱を太陽として描いた一双と思われる。

この絵は、月天、日天と同じように円相を仏様に見立て宇宙を表現したものだろう。絵の前にいると寺院の中で瞑想しているかのような感覚になるから不思議だ。


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リポート&写真/ 渡邉雄二 

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雪村、悟りを開いた「釈迦」を描く 【藤田美術館シリーズ-Ⅲ-】 [日本の文化芸術]

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カードで決済を済ませたあと、スタッフから各作品の解説がスマホで聞けます、という案内があった。QRコードを読み込めばそれだけでOK。イヤホンを持っていたので作品の前に立ち、スマホに読み込んだ各作品の情報をタップすれば解説が流れてくる。このような操作が得意でない私でも便利機能に助けられ作品を堪能した。

トビラを入った瞬間、「暗ら」という心の声が発せられた。我われ世代(私だけかも)では見えにくい展示室というのが第一印象だった。まず、最初の作品の前に行くと作品にスポットの光があたり耳に作品の音声ガイドが流れる。作品に集中できる雰囲気づくりの演出だったようだ。

展示作品にテーマが掲げられてあった。「緑」「僧」「輝」「装」の4つで、「装」は3月からということであった。テーマによって少し期間が異なる展示スタイルのようである。作品すべてがスマホに限り撮影(フラッシュなし)が可能である。但しガラス張りではあるが、不思議と光の屈折なしで撮影ができる。

すべての作品を紹介したいが、知識が乏しいので何点かに絞って掲載しようと思っている。その第一弾が「僧」をテーマにした作品群の中で、室町時代の後期に活躍した画僧・雪村(せっそん)が描いた「中釈迦左右梅竹図」という三幅対の掛軸。中央幅には釈迦が描かれ、左には曲がりながら鋭く上へ伸びる「竹」、右には「梅」、そして中央幅には釈迦が描かれている。
解説によると、雪村が描いている釈迦は悟りをひらいた姿を描いていると言われている。それは、頭頂部の盛り上がりや、白毫(びゃくごう)と呼ばれる眉間の白い毛、足の甲が高くなっているなど、また、衣が粗放で太い墨線で表現されるのに対し顔は繊細な線で表されている。

悟りを開いたあとに、体にいくつかの悟りの特徴が現れるといわれている。これは古代歴史の中で伝え継がれているものらしい。その真意は全く分からないが、雪村は強調して悟り釈迦を描いている。
鋭く天に伸びる竹に梅を両幅に釈迦の凛々しい姿を描きたかったのだろう、と勝手に推測している。リアリティあふれる釈迦の姿に親しみを覚える。心に残る三幅対の作品であった。


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リポート&写真/ 渡邉雄二

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エントランスが美術館を象徴 【大阪〈藤田美術館〉シリーズ-Ⅱ-】 [日本の文化芸術]

明治初期から大阪で土木建築事業や鉱山業などで財を成した藤田傳三郎氏の網島御殿の蔵がのちに美術館へ。日本の文化芸術をこよなく愛した傳三郎氏は日本の美術品が海外に流出するのを惜しみ数々の美術品(国宝指定されたもの含む)を収集してきた。

1954年に藤田美術館が開館され、2017年に新しい美術館の建設に向け閉鎖。60数年の長い美術館ストーリーを築いてきた。そして昨年の4月1日に新しい美術館として生まれ変わり誕生した。
5年前に政府からこれからの美術館のあり方について「リーディング・ミュージアム(先進美術館)」構想が発信された。その構想をベースにして建造されたのが藤田美術館といっても過言ではない。この構想の中身については門外漢には分かりにくいが、美術館ファンからすれば間違いなく一歩先を進むこれからの美術館の姿を提案している。私のような旧態のシステムに慣れ親しんでいるオールドファンには少々ドギマギすることも。


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写真を見ればよく分かるが、とにかくエントランスが広い。美術館とは思えないこのスペースには驚かされる。入口を入ると正面に漆黒の鉄製のトビラが見える。藤田家の蔵のトビラをリユースしたものを展示室への入口に。チケットを購入する窓口が見当たらない。案内所のようなところもいっさいない。
フロアーの右にオープンキッチンを思わせるカウンターコーナーがあり、数人の女性が何やら忙しく動いている。まるでオシャレなカフェのようだ。左に目を向けると、奥には座敷のようなものが設置されている。広いホールにはいくつか椅子とテーブルが設置され休憩できるようになっている。

このエントランスだけを見ても美術館という既成概念がなくなっている。展示室の入口だろうと思われる黒いトビラの方へ行くと、黒の制服をきたスタッフが近寄ってくる。展示室に入られますか? という挨拶からするとエントランススペースだけで過ごす人たちもいるということだ。入場は可能な限りキャッシュレスで行っている。カード類での決済でキャッシュレス美術館をめざしているようだ。それも立ち話のスタイルでカードを差し出し、簡単に決済される。そのあと、スタッフにより大きなトビラが開かれ展示室の中へ。暗ら!

鑑賞し終えたあと、再びエントランスへ戻るとスタッフに声かけられた。 “いかがでしたか? と。その会話のついでに、あのオープンキッチンのようなところはなんですか? と質問してみた。抹茶をたて皆さんにお出ししています、という。ワンコイン(500円)で抹茶と団子のセットがいただける。若い女性スタッフが作家ものの茶碗でお茶を点てる。美術館で美術品鑑賞以外にもこのようなおもてなしが受けられる。それだけを目的にくる若いカップルも多いという。


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また、エントランスの奥の座敷では舞や能のイベントなども行っているという。日本文化をこよなく愛した藤田傳三郎氏の思いがこんなところにも反映されている。日本の文化を先進的な環境やシステムで楽しませる、まさにリーディング・ミュージアムの魁になっている。


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リポート&写真/ 渡邉雄二 写真/ 藤田美術館のネット画像より転載

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