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「壬生狂言」は仏の教えを無言劇で伝える  [伝統芸能]

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先日、京都・壬生寺に行ってきた。春の特別公開にあわせ「壬生狂言」が行われていた。
平成19年に、知人である友禅作家のあだち幸さんが本堂の障壁画と襖絵を奉納され、それを観に行って以来、この時期には壬生寺によく参拝させていただく。

この壬生寺は、お地蔵さんの寺院として有名である。我われには、やはり「新選組」のゆかりのあるお寺として印象が深い。そして、もう一つは「壬生狂言」。毎年、この時期と秋の2回開催されている。

このGWに本堂の「延命地蔵尊」参拝と、あだち幸さんの襖絵を拝見しそれに併せ狂言を鑑賞させていただいた。しかし、堪能できる知識を持ち合わせてないので、その舞台の雰囲気や演者の姿かたち、そして動きを観て楽しむ程度でしかない。鑑賞するたびに、次回はしっかり知識を蓄えてと思うのだけどなかなか実現していない。

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本堂


それで、「壬生狂言」というのはそもそもどんなものなのか理解が出来てないので、資料をもとに少し書いてみると、700年前の鎌倉時代に壬生寺を興隆した円覚上人が創始されたもののようだ。上人が「大念佛会(だいねんぶつえ)」という法会のときに、群衆を前にして最もわかりやすい方法で仏の教えを説こうと身ぶり手ぶりのパントマイム(無言劇)に仕組んだ持斎融通(じさいゆうづう)念佛というものが壬生狂言の始まりと伝えられている。
一般の能狂言とは異なるのが、かね・太鼓・笛の囃子に合わせ、すべての演者が仮面をつけ、一切「せりふ」を用いず無言で演じられる。娯楽的な演目の中にも勧善懲悪(かんぜんちょうあく)、因果応報の理を教える宗教劇としての性格をもっている。

昭和51年に国の重要無形民俗文化財として、京都府下では第一番に指定を受けている。また、狂言を演ずる大念佛堂(狂言堂)は、安政3年(1856)の再建で、綱わたりの芸をする「獣台(けものだい)」や鬼などが飛び込んで消える「飛び込み」などの装置を持つ、他に類例を見ない特異な建造物として、 昭和55年に国の重要文化財として指定されている。

13時開演ということで大念佛堂の観覧席に坐り第一演目を待った。その演目が「炮烙割(ほうらくわり)」。節分の際に素焼きの炮烙(茶道で灰を入れるお皿のようなもの)に家内安全を祈願するために名前などを書いて奉納。その炮烙を狂言で割ることで奉納者は厄除開運が得られる、というものである。それぞれの演目を公開する序曲のような演目がこの「炮烙割」である。割っている瞬間をニュースなどで紹介されている。

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炮烙割

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炮烙割で割れたお皿

そして二番目が「土蜘蛛」だった。これも壬生狂言の代表的な演目のひとつ。土蜘蛛が撒く糸の華やかさがこの演目の醍醐味である。
(いずれも数年前の映像(you tube)ではあるが紹介しているのでご参照してください。)
https://www.youtube.com/watch?v=R2CWxlR1OnA
https://www.youtube.com/watch?v=LzrQjeRh-Tc

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土蜘蛛


その後、本堂を拝覧した。中央に本尊「延命地蔵菩薩」が立ち、脇侍として右に掌善童子像、左に掌悪童子像があった。本堂を囲む障壁画や襖絵があだち幸さんの作品である。

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延命地蔵菩薩と、あだち幸氏の襖絵


リポート&写真/ 渡邉雄二 本堂内は印刷物を複写し掲載(あだち幸氏許諾)

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