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カキツバタから一転、「ツバメ」に変わる。 [文化想造塾<易社/煎茶>]

前回の稽古で掛かっていたお軸の漢詩の冒頭に「燕子花」が書かれていた。
“ツバメの子の花” と漢字で書かれていたので “カキツバタ”と読んだ。いまの時季の花だから当然の流れで話題にのぼった。
そして今回(昨日)の稽古では、前回に引き続いて同じお軸が掛かっていた。てっきり「カキツバタ」の流れになるのだろう、と思っていたが、予想に反しての展開に少々驚いた。

漢詩の読み方としては、七言でも五言でも最初は2文字の意味から始まる。そうすると「燕子花」になると3文字になるので違ってくる。今回の稽古では、 “燕子(ツバメの子)” という2文字でスタート。 “アレっ” と一瞬思ったが、当然の流れで「燕子 花開 幽渚涯」と分けて理解をしていく。訳してみると、渚の行きつく岸に花が咲きツバメがいる。という訳になる。まったくカキツバタのストリーではなくなっている。おもしろい展開になっていった。続きを訳していくと

「南薫 嫋嫋 入書帷」となる。南風が窓から入りカーテンをしなやかに揺らす。
「午眠 初覚 茗醫渇」。昼寝から覚め、お茶で心の渇きを潤す。
「擬和 謝公 池上詩」。謝公(謝霊運/六朝時代の詩人)の登池上楼詩を思い浮かべ和む。

という訳になるが、これを書いたのは日本人で海軍中将とのこと。戦争中にここ一茶庵に立寄り茗(お茶)を嗜みながらその時の心境を、謝公の登池上楼詩を思い起こしながら綴ったようだ。それが写真にあるお軸である。

戦火の中で、一息のときに、我が故郷の子どもたちはどうしているだろう、と思いを馳せる気持ちを「燕子/ツバメの子」に例えたものだった。読み手の想像で、"ツバメ" にもなり"カキツバタ" に訳して楽しむのもよかろう。

燕子花.jpg
稽古風景.JPG
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