自然の息づかいを感じる。

この季節はとくに、自然の風景が美しさを鼓舞するかのようである。
それは作為的なものでなく、あるがままの姿をさらけ出しているからより美しくより魅力的に映るのだろう。

私がよく出かける夙川河川敷は桜の名所で、六甲山のすそ野から河口まで3キロにわたり2千本弱の桜が植えられている。シーズンは、それはそれは見事に花を咲かせ人々を楽しませてくれる。
晩秋から初冬にかけては、地までが紅橙一色に染まるかのように覆われ美しさを魅せてくれる。しかし美しさと裏腹に、眠りに入る前の静けさ、もの哀しさを漂わせる。そして時世を超えて命を継いできた樹木の息音が聞こえてくる。
川を覗き込めば、艶やかな色鱗をまとう鯉が優雅に群れていた。
角度は違うが、自然の息づかいや美しさが何気のない風景の中でみれるのは嬉しいものである。