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個を伸ばし、一緒のフィールドで。 [雑感]

私が勤務している専門学校には高等部がある。中学校を卒業し、将来、技術を活かし仕事をしたいと進学してくる生徒たちを迎え入れている。
それらの生徒たちに交じって、手に職をつけ一般企業で働けるよう、そして自立し生計が立てられるようにとがんばっている生徒たちが若干名いる。
 
その生徒たちは発達障害をもつ子供たちである。そして療育手帳を有し義務教育である中学校までは「特別支援学級」で学んだ生徒である。中学校卒業と同時にほとんどが特別支援学校高等部に進学する。しかしながら、高等学校卒業資格は取得できない。
“通えるだけでも”という保護者の希望に応えられるが、”できるなら高等学校卒業資格が取得でき、さらに自立できるように”という要望を持つ保護者も少なからずいる。それは発達障害者のなかでも障害度量の違いによって考え方や進路に対する捉え方が異なる。
 
本校は高等学校卒業資格が取得でき、技術も身につけることができる学校である。その卒業資格と技術習得を目指し3年間通う。
発達障害をもつ生徒は、いま高校2年生。男女1名ずつが在籍している。一般生とすべて一緒の授業をうけ学校生活を楽しんでいる。だが、二人とも他の生徒と話をすることはほとんどない。だからといって萎縮しているわけでもなく、疎外感をもつこともない。教師の指導や指示に逆らうこともなくマイペースで学んでいる。だから、教師が指導しやすく、通常科目や技術科目など理解が深まると上達が実に早い。
教師は、本人たちを名前のあとにワールドをつけて、”渡辺(仮名)ワールド”と呼んでいる。その領域を少しでも広げられるように熱心に指導されている。
 
その成果が現れてきている。三学期終業式表彰生徒一覧を見ていると、その二人の生徒は、各種技術検定試験、美術展入賞者、皆勤賞等々すべてを受賞した。
とくに洋裁技術検定初級ではその男子生徒が最高得点で合格。そして二人が、今年度一年間の登校日数を無遅刻・無早退・無欠席という快挙を達成している。この成果は、教師の指導やサポートはもちろんだが、なによりも保護者の献身的なサポートがあってこその成果である。
聞くと、小さいときからお母さんが勉強を教え、自立できるように、と親だからできる躾、支援がされてきている。
 
障害者施設で軽度な作業や、連携している事業所の清掃をしている若者が多数いる。10年前に比べれば障害者活動支援も充実してきているものの、健常者とともに一般社会で生活でき、一般企業で就業できるような社会制度の構築が望まれる。障害者であっても個の技能を活かせる環境が早く整えられるよう切に願っている。

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