掛け軸や文房具で、自由自在に時空間を演出する。文化想造塾<煎茶> [文化想造塾<易社/煎茶>]
先週の煎茶の稽古では、稽古場の書斎に文房具が置かれていた。五色の筆に硯、そして硯屏(けんびょう)の三点セット。いままでにない光景に、気がついたものの何を意味するのか、まったく分かってはなかった。
この文房具が、その日の稽古のテーマの基軸になるものだとは最後に知った。
二種類の「かりがね」をいろんな淹れ方で、味の違いを楽しんだ。お茶を飲む、という感覚ではない。お猪口の三分の一程度の量をいただくだけである。だから、味が舌に刺すように敏感に伝わってくる。
湯が沸くまでの間は、いつものように掛け軸の話になる。その日に掛けてあったのが、珍しく南画ではなく、浙派(せっぱ)と呼ばれる絵であった。職業画家の人たちで北宗画系に属するグループの画家たちが画く作風。北宗画は実像画で、南宗画はこの世にない風景を画く。想像の世界を絵にするスタイル。
いままでの掛け軸の絵とはいささか異なるものである。画いた人は「増田東洲」という画家。この絵(写真)がこの日の稽古のキーワードになっていた。掛け軸の横に、文房具が置いてある。今までない装飾物である。
その日の稽古場はまさしく「書斎」を現していた。文房具によって表現していたわけである。
では、いままでの南宗画の掛け軸のときは、掛け軸の中に描かれている空想の場面の中で、煎茶を楽しんでいる、という設定になっている。
亭主が、その日の旨を、掛け軸や文房具、そしてお茶よって自由自在に操る。訪れる人は、それを知って亭主の今日の話やお茶を心の底から楽しむ。言葉では伝えない、日本の独特の粋なやり取りが見えてくる。
■お知らせ
第38回月見の煎茶会
日時/23年10月1日(土) 午後2時30分から午後7時
費用/3500円(3席含)
集合場所・時間/JR奈良線「黄檗」駅午後3時
※一緒に回ります。初心者大歓迎。
前回参加の時のブログ
http://nagomian.blog.so-net.ne.jp/2009-10-04
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