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文化想造塾【逸品殿堂】 ブログトップ
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文様の美しさを生活空間に [文化想造塾【逸品殿堂】]

先日、文様の概念や歴史の話を聞く機会があった。日本の伝統文化を紐解くジャンルとして存在感を示すものと改めて思った。
その中でも少し馴染みがあるとしたら「吉祥文様」だろう。吉祥文様はご存知のように縁起が良く、幸福を呼び込む文様とされている。由来は中国からのものと日本の縁起物に由来する柄・模様とがあるようだ。たとえば、中国由来の柄・模様としては宝物と言われるものを集めた「宝尽くし」と、発展や成功の象徴になっている「龍」とがある。
一方、日本由来の柄・模様としては周知の「松竹梅」や「鶴亀」が代表的な文様モチーフと言っていいだろう。
そのモチーフになっているのが大きく分けると「植物」「動物」「器物」「風物」「図象」「故事」などがありくめども尽きぬ多さに驚く。

いずれも吉祥文様のほとんどが着物のデザイン柄に使われ着物文化とともに発展してきた。しかしながら着物が廃れ始めた昭和中期ごろから文様は伝統文化扱いの一角になっているのは確かである。
しかしながら改めて注視すると美しさを際立たせる潜在美的能力を持っているような気がする。好みや年齢のせいかもしれないが、主役を際立たせる脇の美しさをかもし出す。
吉祥文様の中でもよく知られている「松竹梅」はその典型である。常緑で寿命が長い松、積雪にも折れない竹、冬の寒い中でも蕾を付け芳香を漂わす梅を表し、主役の価値をより一層高めているのは間違いない。

そんな文様が伝統文化財としての情報素材だけの役割に留まるのはあまりにも惜しい。

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※写真はYahooの写真を転載

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日本文化の絶妙なバランスをもつ「和三盆」 [文化想造塾【逸品殿堂】]

可愛いらしい「和三盆」と「落雁」が、形状や色、セットごとに、また可愛らしい引出しに入れられ飾られていた。仕事場の隣にある和菓子屋さん。講師としてお願いしている方々へのお礼品を購入している店先に展示されている。

大好きな干菓子である。食する機会は稀だが、お茶と合わせていただくと絶妙なバランスを生む。日本の食文化を支えるバランスの最たる組み合わせのように思える。
和三盆の味わいは、上品でまろやかな自然の甘みで、口どけがよいのは言うまでもない。とくに深蒸し茶との味のバランスは絶妙である。

その和三盆は、ご存知のように砂糖の一種で落雁などの干菓子や羊羹などの和菓子に主に使われている。干菓子として和三盆糖型物としても親しまれているのがこれ。和三盆は落雁と混同されることもあるが、和三盆糖型物は和三盆のみを固めたものなのに対して、落雁は米や麦・大豆などの粉と砂糖を混ぜて固めたものである。

味も形も日本の伝統的な要素をもっている。それに展示方法にしても、この可愛いらしさを演出している。だから、今もなお愛されているのが伝わってくる。

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仁王像の阿吽形から学ぶ呼吸法 [文化想造塾【逸品殿堂】]

大きなお寺に行くと山門(中門 南大門等)がある。その山門の両側には怖い顔した筋肉隆々の仁王像が立っている。日本全国でこの仁王像がある寺は80寺近くある。その中で、よく知られているのが奈良の東大寺の南大門にある像だろう。

いつの頃からかは覚えてないが、これらの仁王像に関心を寄せるようになった。これという理由は見当たらないないが、他の仏像同様、造形の美しさに惹かれている。
寺院に向かって右側に立つのが「阿形(あぎょう)」で、左に「吽形(うんぎょう)」である。阿形は少し口が開いている。その「阿」は、すべての始まりを意味する。吽形は口を閉じ、終わりを意味する。日本語の五十音でも「あ」で始まり「ん」で終わる。この仕様も、サンスクリット語が元になっているといわれている。



余談続きで恐縮であるが、仏画講座に入る直前にみなさんと一緒に呼吸法をする。「あ」という音を発しながら息を吐く。吐き切ったら口を閉じると「ん」になる。この導音も「阿吽呼吸」として成り立っている。
いつもながら、仁王像の前に立つと呼吸を整えてから門をくぐることにしている。

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自然に逆らわない。これがドレスづくりの原点 [文化想造塾【逸品殿堂】]

「人台にかかっている生地を自然にたらし、その動きに逆らわずピンを打つ」。
鳥丸軍雪(とりまるぐんゆき)さんがイブニング・ドレスをつくるときの序章である。自然の動きをとらえ、直感で生地にピンを打ち、しなやかで流れるようなドレープを創りだしていく。鳥丸さんのドレスづくりの真骨頂である。

先日、鳥丸さんのトークショーのあと、ドレスの作品の数々を拝見した。しなやかに流れるように形状は、「ドレープの魔術師」といわれる所以である。生地が形をなし、命が吹き込まれいまにも動きだしてくるようにも思えてくる。

鳥丸さんが一躍、世界のファッション界に名を轟かしたのは、故 英国のダイアナ元皇太子妃が来日され、天皇陛下に接見されるときに着用したイブニング・ドレスをつくったデザイナーということで注目を集めた。
そのとき、すでに英国ではサッチャー元首相のドレスをはじめ、スウェーデン王国の王女、王妃のご用達として活躍していた。日本では、黒柳徹子さんのステージ衣装を手掛けている。

「私は、自然界から学ぶ中で “自然に逆らわない”ことを生き方の大きな指針にしている」という。とにかく必要でないものをもたない、つまりシンプルを最優先させている。鳥丸さんがよくいう “
修道院の感覚” をドレスに反映、静寂の世界観を創りあげている。その中に、英国が誇る伝統の重みを感じさせる。
※最後の写真2枚は、黒柳徹子さんのドレス

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ドレープの魔術師「鳥丸軍雪」の魅力 [文化想造塾【逸品殿堂】]

46年ぶりの再会だった。記憶をたどると、確かロンドンのホテルのサロンだった。慣れない取材だったので記憶にしっかりと残っている。相手は、英国で注目され始めた、新進気鋭のファッションデザイナーだった。

本日、小生の一方的な再会であるが、その御仁と対面した。「鳥丸軍雪(GNYUKI TORIMARU)」氏である。御年82歳。

神戸ファッション美術館主催で「鳥丸軍雪展」が今日から6月23日まで開催されている。鳥丸氏は、「ドレープの魔術師」とよばれているイブニング・ドレスのデザイナー。
ダイアナ元皇太子妃がチャールズ皇太子と来日され、天皇陛下に会われた時に着用されたイブニング・ドレスなどを作ったデザイナーとして日本でも一気に知名度が上がった。

その鳥丸軍雪氏の作品展の初日のトークショーを拝聴した。昔の記憶が一挙に甦った。
詳しくは、引き続き掲載していく予定である。

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筆が紙上を流れる。 [文化想造塾【逸品殿堂】]

先日、京都に出かけた際に、書家の西垣一川さんの社中展「墨色のリズム展」に伺った。
一川さんのパーフォマンスを見たのは初めて。細くて長い筆が紙の上を流れる。筆先が紙にのしかかる、そしてはうように動く。墨が紙を支配していく。

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建仁寺の魅力のひとつ、それは「龍」 [文化想造塾【逸品殿堂】]

京の寺院の中で、訪ねた回数でゆうなら建仁寺が一番だろう。その理由はいくつかある。その中で、一番がなんと言っても"龍"の画に魅せられたことが大きい。

方丈の下間の襖絵の「雲龍図」と法堂の天井画の「双龍図」の迫力とその存在感は、門外漢の小生でも心に響く。だから事あるごとに心眼の保養に出かけるのである。
襖絵の雲龍図と天井画の双龍図を比べ評論する技量は全くないが、描かれた時代と作者の違いを比べながら眺めているのがただただ好きなだけである。

ただ、龍の基礎的な知識は持っているつもりだ。そもそも龍は、仏教を護る八部衆のひとつで、"水をつかさどる神"として中国から伝わってきた架空神仏として伝承されている。中国では、松が龍に例えられ天に昇る意味から繁栄の象徴に。そして水の神仏として火から家を護る象徴になっている。

話を戻すと、方丈の雲龍図は江戸時代初期の画家 海北友松(かいほうゆうしょう)筆のもの。そして法堂の天井画の龍は、2002年に建仁寺創建800年を記念し、日本画家の小泉淳作画伯によって2年掛かりで描かれた大作である。
襖絵は、黒雲の中から姿を現した阿吽の龍が向き合い、動と静で対峙し視線をぶつけあう姿には計り知れないエネルギーを感じる。
一方の天井画の双龍図は、法を説く大切な修行の場で天空から見守り、そして法の雨を降らし修行僧に力を授けるための神仏としての天井で舞っているという。

いずれにしても訪れた人が、目に見えないエネルギーを享受しているような気がする。だからまた訪ねてみたくなるのかもしれない。

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壮大なる歴史のあかし。 [文化想造塾【逸品殿堂】]

世界文化遺産の東寺伽藍の中でひときわ目を惹く五重塔(国宝)。
初層内部には、心柱(大日如来)を中心に、阿弥陀如来、阿閦如来、法生如来、不空成就如来の金剛界四仏と八大菩薩が四方に向いて鎮座されている。

4度の焼失にもかかわらず、空海の壮大な想いを引き継ぐ僧侶たちが再建してきた。今の五重塔は、1644年に再建した5代目にあたる。その壮観たる姿は心底美しいと思える。

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雪舟の再来、と言われる七類堂天谿師の襖絵公開。両足院 [文化想造塾【逸品殿堂】]

京の冬の旅の期間中、再度、建仁寺塔頭の両足院を訪ねた。後世に名を継がれていくと思われる、道釈画人「七類堂天谿」師の襖絵を見るために。

一度見てわからない、ご本人から直接聞いてもわからない。ならばもう一度現物を見ようと。それでもわからない。見れる機会があれば何度も足を運ぶつもりだ。
この襖絵は、両足院の襖絵制作プロジェクトの一環として特別公開に至ったようだ。

このプロジェクトの趣旨を、同院のHPの内容より抜粋し紹介させていただく。
「当プロジェクトは、如拙、長谷川等伯、伊藤若冲たちの当院に伝わる寺宝に比肩する芸術を創作し、禅院絵画の持つ文化と哲学を未来へ継承していく事業であります。
制作の担い手は、中国の浙江省寧波市で「雪舟の再来」と讃えられ、雪舟と同じ「天童第一座」の称号をも授けられた道釈画家の七類堂天谿氏に依頼しました。」(一部)

とあった。
「天童第一座」の称号は、千七百年の歴史を誇る中国 天童禅寺から栄西禅師(建仁寺開山)、雪舟についで日本人三人目となる。その画人が七類堂天谿師である。禅僧でありながら画人としての位を授けられている。

このプロジェクトに向けて、5年間、両足院の一室をアトリエに画き続けてきた大作襖絵である。
18日までなので、時間があれば、ぜひ。


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ひとつの時代の終焉に! 今上天皇皇后陛下の立ち雛。 [文化想造塾【逸品殿堂】]

平成最後の年となる「おひなまつり」。
地域や家の特徴あるお雛人形が、それぞれに飾れていることだろう。

先日、「船場おひなまつり」で紹介した雛人形の中で、時代の節目になるお雛人形に出会った。昆布・佃煮の老舗「神宗」の尾嵜家お雛様。華やかな立ち雛である。大阪淀屋橋本店の入口に飾れている。
平成2年11月12日に作られたものとパネルに書かれてあった。よく見ると、今上天皇陛下「即位の礼」を模して作られたものである、と。お隣には皇后陛下の十二単がひときわ華やかなに美しさを魅せている。天皇陛下は黄櫨染御袍(こうろぜんごほう)。平安時代以降の日本の天皇が重要な儀式の際に着用する束帯装束のことである。

この美しさを、お雛様として、見事に再現されていた。平成時代が終わろうとしている。貴重な文化財として次の時代に継がれていくことになるのだろう。

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