SSブログ

梅妻鶴子で風雅に暮らす、林和靖。 【梅と鶴】 [文化想造塾<易社/煎茶>]

前回の記事に引き続き、今回も「鶴」をテーマにした内容である。ある人物が鶴をわが子のように愛したストーリーである。
お軸などの絵に鶴と梅、そして、そこに人物が描かれていたら、その人は、中国・北宋時代の詩人「林和靖(りんわせい)」と思って間違いない。梅を妻とし鶴を子として西湖の孤山で過ごしたといわれている。
その林和靖の生活ぶりが、「梅妻鶴子(ばいさいかくし)」という中国の四文字故事につながったといわれている。俗世を離れ、清らかで風流な隠棲生活をする人が、妻の代わりに梅を愛し、子の代わりに鶴を愛で一人で清らかに暮らす様を表している。

鶴3.jpg

しかし、お軸(写真)の中に肝心の梅が見当たらない。鶴も梅も両方描いたらどこにもある絵になってしまう。お軸の中に描かれていないから面白い。茶席ならお軸の横に梅の木を添えて風雅を楽しむ。
今回は、梅探しをしてみたが見当たらない。

さて、漢詩を紐解いていくと、

有梅無雪不精神
有雪無詩俗了人
薄暮詩成天又雪
興梅併作十分春

という詩がボードに書かれていた。よく見るとこの詩の中に、「梅」がある。お軸にも添えた梅の木もないがボードの中にあった。すべてが揃ったわけである。
こんな風流な愉しみ方も乙なものである。

漢詩の訳は、
梅が咲いていても雪が降ってないと風景が生き生きとしたものにならない。
雪が積もっていても詩心がないようではせっかくの風景も平凡なものになってしまう。
夕暮れの時、詩ができ雪が降ってきた。梅と雪と詩を合わせると春の趣が十分に味わえる。

※本文中のお軸は「一茶庵」所蔵。写真は渡邉雄二


nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:アート