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小説に図鑑を重ねていくと臨場感が増幅される [伝統文化]

11月に発刊さればかりの葉室麟氏の「墨龍賦(ぼくりゅうふ)」を読んだ。桃山時代に活躍した絵師「海北友松」を題材にした小説である。それに連鎖され、友松の師匠である狩野派を率いた"狩野永徳物語"である「花鳥の夢」(山本兼一氏著書)を読破。絵師として同じ時代を生き闘った人生が克明に描かれている。異なる小説家が、それぞれの力強い個性と絵師技倆を見事に表現されていた。
そして狩野永徳が、絵の大胆さや技倆に嫉妬した長谷川等伯を題材にした、安倍龍太郎氏の「等伯」を引き続き読んでいる。

同じ時代に腕を振るった著名な絵師がそれぞれと深く関わり、その時の葛藤と嫉妬と強烈な個性を前面に押し出すその様相を、現代の作家が三者三様に巧みに表現されている。
当時のその絵を図鑑を通してであるが、観ながら小説を読んでいくとその時の臨場感が増幅され絵の奥行きが見えてくるようである。

戦国時代の戦火の中、残され継がれた絵が国宝として、重要文化財としていまの世で見ることができるのは無上の喜びである。
今回、歴史上の人物を絵と文字で数倍楽しませてもらった気がする。

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