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若冲の旭日鳳凰図をもとに製作された「長刀鉾」見送りが初お目見え [祇園祭]

明日17日が3年ぶりに行われる祇園祭の前祭のメインイベントである山鉾巡行。その山鉾の先頭を立つのが「長刀鉾」。午前9時に四条烏丸を出発。最初の見どころは四条通と麩屋町の交差点に張られたしめ縄を稚児が切る「しめ縄切り」。
そのあと四条通を東へ進み、四条河原町の交差点で第二の見どころが山鉾の迫力のある豪快なターンである。そして河原町通を北へ進み、再び御池の交差点でターンをする。この場面が山鉾巡行の最大のクライマックスで多くの人の目が釘付けになる。


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伊藤若冲の「旭日鳳凰図」の原図をもとに製作された見送り


このたび、巡行の先頭を行く長刀鉾の背面の飾りものである見送りが新調され、今回の山鉾の最大の見どころの一つになっている。この懸装品が、2016年に長刀鉾保存会設立五十周年を迎え、またその年が同時に、江戸時代の絵師、伊藤若冲誕生三百年にあたり、伊藤若冲の「旭日鳳凰図(宮内庁三の丸正蔵館蔵)」の原図をもとに見送りが製作されることになった。

縦約3.5メートル、横約1.8メートルのつづれ織りで、朝日が昇る中、雌雄の鳳凰が力強く羽ばたくさまが絹糸や金糸を使って描かれている。美術工芸織物を手がける川島織物セルコンが約3年かけて製作し、若冲の筆遣いや微妙な色彩を再現した。
その見送りが巡行の際にお披露目される。筆者が取材した日はまだ懸けられてなく、明日の本番に控えている。

奇想の画家として人気が高い伊藤若冲(1716-1800)は京都、錦市場の青物問屋『升源』の長男として生まれたが、商売には興味がなく絵を描くために家督を弟に譲り、早々と隠居を決め絵に専念。しかし隠居後も町政に関わりをもち、錦高倉市場の開発には尽力したようである。
京の町衆の祭である祇園祭、若冲は京の町衆の画家である。意外なことに今回初めて相互に接点をもった。若冲の絵が山鉾に使われたのは長刀鉾が初めて、この組み合わせが今年の祇園祭で実現した。
 
この記念すべき見送は、絵が決まってから織下絵の制作、配色、試作などを経て、完成までに3年間かかった。細かな図柄部分はベテランの織手が二人がかりで一か月に8cmほど。使用した色数は800色以上。裏目を上にして織るため、小さな鏡で図柄の織り上がりを確認しながらの作業。日本文化を後世に伝え継ぐ技術の緻密さには驚かされる。
気高い鳳凰の姿は長刀鉾の宝として、未来に言い伝えられることであろう。


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若冲の見送り以外の懸装品は室町~江戸時代に当時の町衆がペルシャや中国などから輸入した逸品織物を使用

リポート&写真/ 渡邉雄二 最初の写真は、長刀鉾保存会HPのものを転載。文章の一部は保存会HPやウィキペディアを参照

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